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脊髄梗塞について、症状、原因、機序、治療法など徹底的に掘り下げてみた

 2024/06/14 症状・病気
この記事は約 13 分で読めます。

元たいそうのお兄さんの佐藤弘道さんが、脊髄梗塞で下半身まひになり、芸能活動を休止したというニュースをみました。

脊髄梗塞って何ですか?

金井 進さんによる脊髄梗塞

脊髄梗塞(せきずいこうそく)とは

脊髄梗塞(せきずいこうそく)は、脊髄の血流が阻害されることによって脊髄に酸素や栄養が供給されなくなり、神経細胞が損傷を受ける状態です。

これは脳梗塞と同様に神経系に深刻な影響を及ぼします。

以下に、症状、原因、機序、治療法、予後について詳しく説明します。

症状

脊髄梗塞の症状は、損傷の部位や程度によって異なります。以下は一般的な症状です。

  1. 突然の背中や首の痛み:急激な痛みが発生することがあります。
  2. 筋力低下や麻痺:下肢や上肢の筋力が低下したり、動かせなくなったりします。これは両側性であることが多いです。
  3. 感覚異常:触覚、温度感覚、痛覚などの感覚が鈍くなる、または消失することがあります。
  4. 排尿・排便障害:膀胱や腸のコントロールが困難になることがあります。
  5. 歩行困難:歩行が困難または不可能になることがあります。

原因

脊髄梗塞の原因には以下のようなものがあります。

  1. 血栓や塞栓:動脈硬化などにより血管が狭窄し、血栓や塞栓が脊髄の血流を阻害する。
  2. 外傷:脊髄を直接傷つける外傷によって血流が妨げられる。
  3. 大動脈解離:大動脈の壁が裂けることで脊髄への血流が遮断される。
  4. 椎間板ヘルニア:椎間板が突出し、血管を圧迫することがある。
  5. 感染症や炎症:感染症や自己免疫疾患による炎症が血管を狭窄させることがある。

機序

脊髄に供給される血液は、主に前脊髄動脈と後脊髄動脈によって運ばれます。

これらの動脈が塞栓や血栓、解離、圧迫などで閉塞されると、脊髄に酸素や栄養が供給されなくなり、神経細胞がダメージを受けます。

この結果、感覚や運動機能が損なわれることになります。

治療法

脊髄梗塞の治療は迅速な対応が必要です。以下に一般的な治療法を挙げます。

  1. 血栓溶解療法:血栓を溶かすための薬物(例:t-PA)を投与します。ただし、適用には時間制限があります。
  2. 抗凝固療法:血液の凝固を防ぐ薬(例:ヘパリン)を使用します。
  3. 外科手術:圧迫が原因の場合、圧迫を解放するための手術が行われることがあります。
  4. リハビリテーション:機能回復を目指したリハビリテーションが重要です。理学療法や作業療法が含まれます。

予後

脊髄梗塞の予後は、発症時の症状の重症度、治療の迅速さ、損傷部位などに依存します。

早期に適切な治療が行われれば、部分的な回復が期待できることがありますが、完全な回復が難しい場合も多いです。

機能障害が残ることが多く、長期的なリハビリが必要となることが一般的です。

具体例

50歳の男性が突然、強い背中の痛みとともに足が動かなくなり、感覚が鈍くなったとします。

病院に搬送され、MRI検査で胸椎の脊髄梗塞が確認されました。

直ちに抗凝固療法が開始され、血液の流れが改善されました。

その後、理学療法士と作業療法士によるリハビリが行われ、6か月後には杖を使って歩けるようになりましたが、完全な回復には至りませんでした。

このようなケースでは、早期の診断と治療が予後に大きく影響することが分かります。

脊髄梗塞は迅速な対応と長期的なケアが求められる疾患であり、症状の進行を防ぎ、可能な限り機能を回復させるために、多角的なアプローチが必要です。

脊髄梗塞の原因である血栓(けっせん)や塞栓(そくせん)とは

血栓(けっせん)や塞栓(そくせん)は、血管内で血液が固まり、血流を阻害する状態です。これらの状態が脳、心臓、肺、その他の臓器に深刻な影響を及ぼすことがあります。

以下に、それぞれの症状、原因、機序、治療法、予後について詳しく説明します。

血栓(Thrombosis)

症状

血栓が形成される場所によって症状は異なります。

  1. 深部静脈血栓症(DVT)
    • 下肢の腫れ、痛み、発赤、熱感。
    • ふくらはぎや大腿部に特に痛みが集中することがあります。
  2. 冠動脈血栓
    • 胸痛(狭心症や心筋梗塞の症状)。
    • 呼吸困難、発汗、吐き気、心臓発作の症状。
  3. 脳血栓
    • 一側の顔や手足の麻痺。
    • 言語障害、視覚障害、突然の激しい頭痛。
    • 意識混濁、めまい。

原因

  • 動脈硬化:血管壁に脂肪性のプラークが蓄積し、血管が狭くなります。
  • 長時間の安静や不動:手術後や長距離旅行での不動状態。
  • 遺伝的要因:血液が固まりやすい体質(例:ファクターVライデン変異)。
  • 生活習慣:喫煙、肥満、運動不足。
  • 病状:がん、心臓病、糖尿病。

機序

血液の成分である血小板やフィブリンが凝集して固まり、血管内に血栓が形成されます。

動脈血栓は通常、高速で流れる血液の中でプラークが破裂した後に形成され、静脈血栓は血流が遅くなる部位で形成されやすいです。

治療法

  • 抗凝固薬:ワルファリン、ヘパリンなどを使用し、血液の凝固を防ぎます。
  • 血栓溶解療法:血栓を溶かすためにt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)などの薬剤を使用します。
  • カテーテル治療:血管内にカテーテルを挿入し、血栓を物理的に取り除きます。
  • 圧迫療法:弾性ストッキングを使用して静脈の血流を改善します。

予後

早期の診断と治療が行われれば、良好な予後が期待できます。

しかし、血栓が大きな臓器に影響を及ぼすと、長期的な後遺症や生命にかかわることがあります。

例えば、心筋梗塞や脳梗塞の場合、早期治療がなければ致命的になる可能性があります。

塞栓(Embolism)

症状

塞栓の症状は、どの臓器に塞栓が発生するかによります。

  1. 肺塞栓症
    • 突然の息切れ、胸痛、咳、血痰。
    • 急激な呼吸困難や失神。
  2. 脳塞栓症
    • 突然の麻痺、言語障害、視覚障害、意識障害。
    • 一側の手足の筋力低下やしびれ。
  3. 末梢動脈塞栓症
    • 手足の急激な痛み、しびれ、青白くなる、脈が触れない。

原因

  • 心臓の不整脈:心房細動による血栓が原因となることが多いです。
  • 深部静脈血栓:足の静脈でできた血栓が血流に乗って肺などに運ばれる。
  • 脂肪塞栓:骨折や手術後に脂肪が血流に乗る。
  • 空気塞栓:手術や外傷で空気が血流に入る。

機序

塞栓は血流に乗って移動し、狭い血管に詰まります。このため、血液供給が遮断される部位に応じて、様々な臓器や組織に急性の虚血(血流不足)を引き起こします。

治療法

  • 抗凝固薬:血液の凝固を防ぐために使用されます。
  • 血栓溶解療法:塞栓を溶かすために使用します。
  • 外科手術:場合によっては、物理的に塞栓を除去するための手術が必要です。
  • 支持療法:酸素療法や静脈内投与などで臓器機能をサポートします。

予後

塞栓の予後は、塞栓が発生した臓器や治療の迅速さによって大きく異なります。

例えば、肺塞栓症では早期治療が行われれば回復が期待できますが、治療が遅れると致命的になる可能性があります。

具体例

事例1:65歳の女性が、長時間の飛行機旅行後に片脚のふくらはぎに痛みと腫れを感じました。

病院での検査により深部静脈血栓症(DVT)と診断されました。ヘパリンを投与され、弾性ストッキングを使用して血流を改善しました。

その後、ワルファリンによる抗凝固療法が継続され、症状は改善しました。

事例2:72歳の男性が突然の胸痛と息切れを訴え、救急車で搬送されました。

CTスキャンにより肺塞栓症が確認されました。緊急でt-PAが投与され、血栓が溶解されました。

入院中はヘパリンによる抗凝固療法が行われ、リハビリテーションを経て退院しましたが、長期的な抗凝固療法が必要となりました。

血栓や塞栓は迅速な診断と治療が重要であり、予防策としては定期的な運動、健康的な生活習慣の維持、必要に応じた抗凝固薬の使用が推奨されます。

脊髄梗塞の原因である大動脈解離(だいどうみゃくかいり)とは

大動脈解離(だいどうみゃくかいり)は、大動脈の壁の内膜が裂けて血液が中膜に入り込み、動脈壁が二層に分かれる状態です。

これは生命を脅かす緊急事態であり、迅速な診断と治療が必要です。

以下に、症状、原因、機序、治療法、予後について詳しく説明します。

症状

大動脈解離の症状は急性であり、突然発症することが多いです。典型的な症状は以下の通りです。

  1. 突然の激しい胸痛
    • 胸の中心部から背中にかけて広がる痛み。
    • 引き裂かれるような痛みと表現されることが多い。
  2. 痛みの移動
    • 解離が進行すると、痛みが胸から腹部、背中、腰に移動することがあります。
  3. 血圧の異常
    • 片側の血圧が低下し、もう片側の血圧が正常または高い場合があります。
  4. 神経学的症状
    • 脳への血流が障害されると、意識障害や麻痺が生じることがあります。
  5. その他の症状
    • 呼吸困難、発汗、めまい、失神など。

原因

大動脈解離の主な原因は以下の通りです。

  1. 高血圧:高血圧が長期間続くと、大動脈の壁が弱くなり、解離のリスクが高まります。
  2. 結合組織疾患:マルファン症候群やエーラス・ダンロス症候群などの遺伝性疾患。
  3. 動脈硬化:動脈壁が硬化し、内膜が裂けやすくなります。
  4. 外傷:胸部への強い衝撃や手術による損傷。
  5. 遺伝的要因:家族歴のある場合、リスクが高まります。

機序

大動脈解離は、大動脈の内膜が裂けて血液が中膜に侵入し、血流によって中膜が剥離されて二重構造が形成されることにより発生します。

これにより、真の管腔(True Lumen)と偽の管腔(False Lumen)ができ、血流が正常に循環しなくなります。

偽の管腔が拡大すると、大動脈が破裂するリスクが高まり、致命的な結果を招く可能性があります。

治療法

治療は急性期の管理と長期的な管理に分かれます。

  1. 急性期の管理
    • 血圧管理:高血圧を迅速にコントロールし、動脈壁へのストレスを軽減します。β遮断薬やカルシウム拮抗薬が使用されます。
    • 鎮痛薬:痛みを和らげるために使用されます。
    • 外科手術:解離が上行大動脈(スタンフォードA型)で発生した場合、緊急手術が必要です。解離部を人工血管で置換する手術が行われます。
  2. 長期的な管理
    • 薬物療法:血圧をコントロールする薬物療法が続けられます。
    • 定期的な検査:CTやMRIを用いた定期的な画像診断が行われ、解離の進行を監視します。

予後

大動脈解離の予後は、発症部位、治療の迅速さ、患者の全体的な健康状態によって異なります。

  1. スタンフォードA型(上行大動脈)
    • 手術が迅速に行われれば、予後は改善されますが、致命率は依然として高いです。適切な治療を受けても、5年生存率は約70%です。
  2. スタンフォードB型(下行大動脈)
    • 保存的治療が可能な場合、長期予後は比較的良好です。5年生存率は約75%です。

具体例

事例: 70歳の男性が突然、激しい胸痛と背中の痛みを訴え、救急車で病院に運ばれました。

血圧測定で右腕と左腕の血圧に大きな差があり、CTスキャンで上行大動脈の解離(スタンフォードA型)が確認されました。

直ちに血圧をコントロールするためにβ遮断薬が投与され、緊急手術が行われました。

手術では解離した部分を人工血管で置換しました。術後は集中治療室での厳密な管理が行われ、徐々に回復し、3週間後に退院しました。その後は定期的に外来で血圧管理と画像診断を受け、再発の有無を監視しています。

大動脈解離は迅速な診断と治療が必要であり、患者の命を救うためには高度な医療チームの協力が不可欠です。

予防としては、高血圧の管理、定期的な健康チェック、適切な生活習慣の維持が重要です。

脊髄梗塞の原因である椎間板椎間板(ついかんばん)ヘルニアとは

椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)は、脊椎の椎間板が正常な位置からずれたり、突出したりして神経を圧迫する状態です。

これにより、痛みや神経症状が引き起こされます。

以下に、椎間板ヘルニアの症状、原因、機序、治療法、予後について詳しく説明します。

症状

椎間板ヘルニアの症状は、影響を受ける椎間板の部位(腰椎、胸椎、頚椎)と、圧迫される神経の程度によって異なります。

一般的な症状は以下の通りです。

  1. 腰椎ヘルニア(腰部)
    • 腰痛。
    • 坐骨神経痛:腰から臀部、太もも、ふくらはぎ、足にかけての痛みやしびれ。
    • 筋力低下:足の筋力低下や歩行困難。
    • 排尿・排便障害:重症の場合、膀胱や腸の機能が影響を受けることがあります。
  2. 頚椎ヘルニア(首部)
    • 首の痛み。
    • 肩や腕の痛み、しびれ。
    • 手の筋力低下や細かい動作が困難になる。
    • 頭痛やめまい。

原因

椎間板ヘルニアの主な原因は以下の通りです。

  1. 加齢:椎間板が年齢とともに劣化し、弾力性が失われる。
  2. 外傷:交通事故やスポーツ傷害などによる椎間板へのダメージ。
  3. 姿勢の悪さ:長時間の座位や不適切な姿勢が椎間板に負担をかける。
  4. 重いものの持ち上げ:不適切な持ち上げ方で椎間板に過剰な圧力がかかる。

機序

椎間板は、核内液(ヌクレウス・パルポサス)と呼ばれる柔らかい中心部と、それを取り囲む強い繊維リング(アヌルス・フィブロサス)から成ります。

加齢や外力によって繊維リングが裂けると、核内液が外側に押し出され、神経根や脊髄を圧迫します。

これが神経痛やしびれ、筋力低下などの症状を引き起こします。

治療法

椎間板ヘルニアの治療法は、症状の重症度や持続期間によって異なります。

  1. 保存的治療
    • 鍼灸治療:筆者が鍼灸師であるため、1番目に入れましたし、早い鍼灸施術が大切。
    • 休息と生活習慣の改善:痛みが和らぐまでの休息と、姿勢や持ち上げ動作の改善。
    • 薬物療法:鎮痛薬(NSAIDs)、筋弛緩薬、神経障害性疼痛治療薬。
    • 理学療法:ストレッチや筋力強化運動、温熱療法、電気刺激療法。
    • コルセット:腰部をサポートし、負担を軽減するための装具。
  2. 注射療法
    • 硬膜外ステロイド注射:炎症を軽減し、痛みを和らげる。
  3. 外科的治療
    • 椎間板摘出術(ディスクエクトミー):突出した椎間板を部分的または完全に取り除く手術。
    • 椎間板置換術:損傷した椎間板を人工椎間板に置き換える手術。

予後

椎間板ヘルニアの予後は、早期の診断と適切な治療が行われることで良好となることが多いです。

保存的治療で多くの患者が回復しますが、重症の場合や保存的治療に反応しない場合は手術が必要となることがあります。

手術後も理学療法などのリハビリが重要で、再発防止のための姿勢改善や運動が推奨されます。

具体例

事例: 45歳の男性が、長時間のデスクワーク後に突然、右脚に強い痛みとしびれを感じ、歩行が困難になりました。

病院でのMRI検査により、腰椎L4-L5に椎間板ヘルニアが確認されました。

初期治療として、NSAIDsと筋弛緩薬が処方され、理学療法を開始しました。3ヶ月間の保存的治療で痛みが軽減し、しびれも改善しました。

しかし、しびれば残存しているため、ホリス治療院を受診し、改善しました。

椎間板ヘルニアは、早期の対応と適切な治療が予後を大きく改善する可能性があり、長期的には健康的な生活習慣と運動が再発防止に重要です。

東洋医学、鍼灸治療からひと言

今回の「脊髄梗塞について、症状、原因、機序、治療法など徹底的に掘り下げてみた」は、いかがだったでしょうか?

元たいそうのお兄さんの佐藤弘道さんが、この脊髄梗塞で下半身まひになり、芸能活動を休止するというニュースを患者さまからお聞きし、質問されましたので、回答しました。

脊髄梗塞の原因いくつかあり、その原因によって治療や予後が変わってきますが、1日も早い回復をお祈り申し上げます。

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金井 進

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