お酒が飲めません
お酒を飲むと顔が赤くなり、体が熱くなる人の特徴は、主にアセトアルデヒドの分解能力に関連しています。生理学的に詳しく説明します。
金井 進さんによるお酒が飲めません金井 進さんによるお酒が飲めません
Contents
アルコールの代謝は
アルコールの代謝
アルコール(エタノール)は体内で二段階に分解されます。
- **アルコール脱水素酵素(ADH)**によりエタノールがアセトアルデヒドに変換される。
- **アセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)**によりアセトアルデヒドが酢酸に分解される。
お酒を飲むと顔が赤くなるのは
アセトアルデヒドは毒性が強く、体内に蓄積すると顔が赤くなったり、心拍数が上がったり、体が熱くなるなどの反応を引き起こします。
お酒の分解能力には
ALDH2の活性には遺伝的な多型があり、特に東アジア人に多い形質として、ALDH2の活性が低い、もしくは全くない人が存在します。これによりアセトアルデヒドの分解が不十分となり、飲酒時に以下のような症状が現れやすくなります。
例1: ALDH2活性が低い場合
田中さん(仮名)は、少量のお酒を飲んだだけで顔が赤くなり、体が熱くなることがあります。これは田中さんの体内でALDH2の活性が低いため、アセトアルデヒドが速やかに分解されずに体内に蓄積するからです。具体的には、飲酒後30分以内に以下の反応が起こります。
- 顔の紅潮: アセトアルデヒドが血管を拡張させ、顔の血流が増えるため、顔が赤くなります。
- 体の発熱感: アセトアルデヒドの影響で体温が上昇したり、熱感を感じます。
- 心拍数の増加: アセトアルデヒドの作用で交感神経が刺激され、心拍数が上がります。
例2: ALDH2活性が全くない場合
佐藤さん(仮名)は、アルコールに対する耐性が非常に低く、ほんの一口のお酒でも顔が真っ赤になり、体が熱くなります。これは佐藤さんのALDH2遺伝子が完全に不活性なため、アセトアルデヒドがほとんど分解されないためです。
飲んで吐いてで、お酒に強くなる?
アルコールとアセトアルデヒド
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、その後酢酸に変わって排出されます。吐くという行為は、胃の内容物を強制的に排出することですが、アルコールはすでに血流に入っており、肝臓での処理が必要です。
繰り返し吐くことの影響
頻繁に吐くことは、以下のような健康リスクを伴います:
- 食道の損傷:胃酸が食道に逆流し、食道の粘膜を傷つける可能性があります。これにより、食道炎やバレット食道(がんのリスクが高まる状態)を引き起こすことがあります。
- 電解質バランスの崩れ:頻繁に吐くことで、体内の電解質バランスが崩れ、脱水症状や不整脈を引き起こす可能性があります。
- アルコール依存症のリスク:吐くことでアルコールを摂取する量を増やそうとする行為は、アルコール依存症のリスクを高めます。
お酒を飲めるようになるためには
- 少量から始める:
- まずは最初にビールを一口だけ飲むことから始めていきましょう。
- 自分の限界を理解し、無理をしない範囲で少しずつ飲む量を増やしていきましょう。
- 食事と一緒に飲む:
- 空腹時に飲むとアルコールの吸収が速くなり、吐きやすくなるため、食事と一緒に飲むことを心掛けましょう。
- 水と交互に飲む:
- アルコール飲料を一杯飲んだら、水を一杯飲むようにしましょう。これにより、アルコールの濃度が薄まり、体への負担が軽減されます。
- 飲むペースを守る:
- 一気に飲まず、ゆっくりと時間をかけて飲むことで、肝臓がアルコールを処理しやすくなります。
結論
お酒を飲むと顔が赤くなり、体が熱くなる人は、主にALDH2の活性に影響を受けます。
遺伝的な要因によりアセトアルデヒドの分解が不十分なため、飲酒後の生理的反応として紅潮や発熱感が生じます。これを理解することで、適切な対処法を取ることが可能です。