美味しくて、危険な油の話を鍼灸師が患者さまに内緒で教える話
「リノール酸」って聞いたことがありますか?
私たちが食べている油である脂肪酸の1種です。
私たちの健康について考えるときには、この脂肪はとても重要です。
詳しく説明する前に、私たち日本人の脂肪歴史(笑)を簡単に話します。
日本人の脂肪歴史
戦後の食事の変化
私たちは、戦後、アメリカ流の食事をするようになりました。
特に、牛肉をはじめとする肉食・酪農製品が主流になりました。
しかし、この肉食・酪農製品に落とし穴があり、動脈硬化や心血管疾患、つまり、生活習慣病のリスクが増大することが分かりました。
動物性から植物性へ
そこで、動物性の油よりも植物性の油が良いとなり、サフラワー油( べにばな油 )、大豆油、コーン油を使うようになりました。
昭和の時代は、お歳暮などに「プレミアムオイル」と称して、植物油を贈っていたのを記憶している人も多いと思います。
それは『お世話になった方の健康を気遣っています、いつまでも健康でいてくださいね』という願いを込めて贈ったとされています。
その後、近代病と呼べるアレルギー疾患と食用油との関係が明らかになってきました。
食用油とアレルギー疾患
最近では、アレルギー疾患が気になる方は、亜麻仁油などを使用したり、生活習慣病予防にオリーブオイルなどにしている人もいらっしゃると思います。
特にココナッツオイルは、注目されてきていますよね。
ということで、食用油、脂肪酸について詳しく見ていきましょう。
最後に、ホリス治療院の見解をお話ししますので、途中は飛ばしてもOK(笑)ですよ~。
油の種類とその特徴
飽和脂肪酸
例:バター、ココナッツオイル、動物性脂肪
- メリット
- 安定性が高く、酸化しにくい( 調理に適している )。
- 一部の飽和脂肪酸( 例:ラウリン酸 )は抗菌作用を持つ。
- デメリット
- 過剰摂取は血中コレステロール( LDL )の上昇を招き、動脈硬化や心血管疾患のリスクを増加。
- 病気を引き起こす機序
- 飽和脂肪酸の過剰摂取により、肝臓でLDLコレステロールの産生が増加。これが動脈壁に蓄積し、慢性炎症を引き起こす。
- 健康に寄与する機序
- 適量の飽和脂肪酸は細胞膜の構造を安定化し、エネルギー源として利用される。
一価不飽和脂肪酸( MUFA )
例:オリーブオイル( オレイン酸 )、アボカド
- メリット
- LDLコレステロールを低下させ、HDLコレステロールを維持。
- 抗炎症作用を持ち、心血管疾患リスクを低下。
- デメリット
- 過剰摂取でカロリー過多になる可能性。
- 病気を引き起こす機序
- 炎症性メディエーターの生成を抑制する効果があるため、病気のリスクは低いが、他の要因( 肥満など )でリスクが増加する。
- 健康に寄与する機序
- 一価不飽和脂肪酸は、核内受容体( PPAR-γ )を活性化し、インスリン感受性を向上させる。
多価不飽和脂肪酸( PUFA )
オメガ3脂肪酸
例:魚油( EPA、DHA )、亜麻仁油、チアシード
- メリット
- 抗炎症作用、心血管疾患リスク低下、神経機能の向上。
- 脳機能や視覚機能の維持に寄与。
- デメリット
- 過剰摂取は出血リスクを増加。
- 病気を引き起こす機序
- オメガ3脂肪酸の欠乏はプロスタグランジンE2など炎症性物質の産生増加を引き起こす。
- 健康に寄与する機序
- 細胞膜に組み込まれることで柔軟性を向上し、抗炎症メディエーター( リポキシンなど )を生成。
オメガ6脂肪酸
例:サフラワー油( べにばな油 )、大豆油、コーン油
- メリット
- 炎症性メディエーターのバランスを調整( 適量なら )。
- デメリット
- 過剰摂取で慢性炎症を誘発。
- 病気を引き起こす機序
- アラキドン酸の過剰生成により、プロスタグランジンE2やロイコトリエンB4など炎症性メディエーターの過剰産生を引き起こす。
- 健康に寄与する機序
- 必須脂肪酸として細胞膜構造を維持し、エネルギー供給に寄与。
トランス脂肪酸
例:一部の加工食品、マーガリン
- メリット
- 工業的には安定性が高い。
- デメリット
- LDLコレステロール増加、HDLコレステロール低下。
- 心血管疾患、糖尿病リスクの増加。
- 病気を引き起こす機序
- 細胞膜に異常に取り込まれ、細胞機能が損なわれる。
- 酸化ストレスと炎症反応を増加。
- 健康に寄与する機序
- 健康への寄与は基本的に期待できない。
健康に寄与する油摂取のポイント
- バランスの重要性
- オメガ6:オメガ3の比率を適切( 4:1以下 )に保つことで、炎症性疾患リスクを抑える。
- 抗炎症作用
- オメガ3脂肪酸が核内受容体( PPAR-α、PPAR-γ )やNF-κBを調節し、炎症抑制作用を発揮。
- 細胞膜の質向上
- 適切な脂肪酸の摂取により、細胞膜の柔軟性と機能性が向上し、代謝効率が高まる。
推奨摂取方法
- 調理用には酸化しにくいココナッツオイルやオリーブオイルを使用。
- サラダやスムージーにオメガ3脂肪酸を含む亜麻仁油を追加。
- トランス脂肪酸の摂取を可能な限り回避。
脂肪酸の摂取を意識的に調整することで、病気リスクを軽減し、全身の健康をサポートすることができます。
東洋医学、鍼灸治療からひと言
今回の「美味しくて、危険な油の話を鍼灸師が患者さまに内緒で教える話」は、いかがだったでしょうか?
ホリス治療院では、アレルギー疾患や生活習慣病から遠ざかりたい方には、ココナッツオイルを推奨しています。
しかし、最近のココナッツオイルブームにおいて品質保証できない製品もあるみたいですので、気を付けたいところですね。
加熱料理には、ココナッツオイル、ドレッシングには、オリーブオイル、時々は菜種油などを使用するのが実際の生活では便利なようです。
繰り返しになりますが、健康には、これを食べれば大丈夫的な魔法はありません。
しかし、摂らない方が良いものはあります。
その代表的なものがトランス脂肪酸であることは間違いないと思います。
是非、この美味しい油と上手に付き合って、健康的な食生活を送りましょうね。