扇風機をつけて寝ていると心臓が止まる?風邪( ふうじゃ )、経筋症とは?
一晩中、扇風機をつけて寝ていると心臓が止まる。 と聞いたことがあります。
ホントですか?
扇風機に殺傷能力があるんですか?
エアコンじゃなくて、なんで扇風機なんですか?
金井 進さんによる扇風機 風邪 経筋症「扇風機を一晩中つけて寝ると心臓が止まる」という話は、いわゆる都市伝説の一つです。
この話には根拠が乏しく、科学的な証拠はありません。
以下にこの都市伝説の背景や、扇風機の使用に関する安全性について詳しく説明します。
都市伝説の背景
この都市伝説は特に韓国で有名で、「扇風機死亡(Fan Death)」として知られています。
この説では、密閉された部屋で扇風機を一晩中つけて寝ると、以下のような理由で死に至るとされています:
- 酸素不足:扇風機が部屋の酸素を消費し、酸素不足に陥る。
- 低体温症:扇風機の風により体温が下がりすぎて低体温症になる。
- 脱水症状:扇風機の風が体から水分を奪い、脱水症状を引き起こす。
科学的な見解
これらの説に対して、科学的な根拠はほとんどありません。
具体的に以下の点で検証できます:
- 酸素不足:
- 扇風機は空気を循環させるだけであり、酸素を消費するわけではありません。部屋の酸素レベルが著しく低下することは考えにくいです。
- 低体温症:
- 通常の室温であれば、扇風機の風によって体温が危険なほど下がることはありません。極端に冷たい環境でない限り、低体温症になるリスクは非常に低いです。
- 脱水症状:
- 扇風機の風が体から水分を蒸発させることはありますが、通常の環境でこれが命に関わるレベルの脱水を引き起こすことはありません。適切に水分を補給すれば問題ありません。
実際のリスク
扇風機の使用における現実的なリスクとしては、以下の点が挙げられます:
- 風が直接体に当たり続けることによる不快感:長時間、風が直接体に当たると、乾燥や筋肉の硬直を引き起こすことがあります。これを避けるためには、扇風機の風向きを調整するか、タイマー機能を利用すると良いです。
- 睡眠環境の影響:音や風の強さによっては、睡眠の質が低下することがあります。適切な風量と音のレベルを調整することが重要です。
結論
扇風機を一晩中つけて寝ることによる致命的な危険性は、科学的には確認されていません。
適切に使用すれば、扇風機は安全で快適な睡眠環境を提供する便利な道具です。
心臓が止まるという話は、科学的な根拠に欠ける都市伝説であると考えられます。
しかし、東洋医学、鍼灸治療の観点で冷風を身体に当て続けていると風の害である風邪(ふうじゃ)による病気が引き起こされる場合がありますので、以下に風邪(ふうじゃ)について説明します。
東洋医学、鍼灸治療の風邪(ふうじゃ)とは
東洋医学(中医学)における風邪(ふうじゃ)について詳しく説明します。
風邪(ふうじゃ)の概念
東洋医学における風邪(ふうじゃ)は、自然界の「風」という気候要素が人体に侵入して引き起こす病気のことを指します。
風邪は六淫(りくいん)の一つであり、他には寒邪(かんじゃ)、暑邪(しょじゃ)、湿邪(しつじゃ)、燥邪(そうじゃ)、火邪(かじゃ)があります。
風邪は、他の邪気と組み合わさって症状を引き起こすことがよくあります。
風邪の特性
風邪には以下の特性があります:
- 漂泊性:風邪は体の表面を漂うように動き、場所を変えながら症状を引き起こします。
- 速変性:風邪の症状は急に現れたり消えたりします。
- 開泄性:風邪は身体の表面を開放し、汗をかかせることがあります。
風邪の影響
風邪は主に体の表面、特に肺や皮膚に影響を与えます。
風邪によって引き起こされる症状には以下のようなものがあります:
- 発熱
- 頭痛
- 咳
- 喉の痛み
- 鼻水やくしゃみ
- 筋肉痛
- 悪寒
風邪の分類
風邪は単独で存在することは少なく、他の邪気と結びついて病気を引き起こします。
以下にいくつかの例を示します:
風寒
- 原因:風邪と寒邪が結びついたもの。
- 症状:悪寒、発熱、無汗、頭痛、咳、鼻水、関節痛。
- 治療:発汗を促して風寒を体外に追い出す(解表法)。例えば、桂枝湯や麻黄湯などの漢方薬が用いられる。
風熱
- 原因:風邪と熱邪が結びついたもの。
- 症状:発熱、軽い悪寒、喉の痛み、咳、黄色い痰、鼻水。
- 治療:熱を冷まし、風邪を追い出す(清熱解表法)。例えば、銀翹散や桑菊飲などの漢方薬が用いられる。
風湿
- 原因:風邪と湿邪が結びついたもの。
- 症状:重だるさ、関節痛、浮腫、頭痛。
- 治療:湿邪を取り除き、風邪を追い出す(化湿解表法)。例えば、藿香正気散などの漢方薬が用いられる。
具体的な例題
例1:風寒の風邪
ある患者が冬の寒い日に外出した後、悪寒と共に発熱し、頭痛と鼻水が出るようになりました。
汗はかかず、関節も痛むようです。これは風寒の風邪と考えられます。
この場合、解表法を用いて発汗を促し、風寒を追い出すために麻黄湯を処方します。
例2:風熱の風邪
春先に風邪を引いた患者が、発熱と共に喉の痛みを訴え、咳をし、黄色い痰が出るようになりました。
これは風熱の風邪と考えられます。
この場合、清熱解表法を用いて熱を冷まし、風邪を追い出すために銀翹散を処方します。
まとめ
東洋医学における風邪(ふうじゃ)は、自然界の風が体に侵入して引き起こす病気のことを指し、他の邪気と結びついて様々な症状を引き起こします。
治療には、邪気の種類に応じて適切な方法と漢方薬を用いて風邪を追い出すことが重要です。
特にホリス治療院の鍼灸治療では、風邪(ふうじゃ)は、経筋症を引き起こしやすいと考えています。
以下に、経筋症について説明します。
東洋医学、鍼灸医学の経筋症とは
経筋症の概念
東洋医学、鍼灸治療における経筋症(けいきんしょう)は、経絡の一種である経筋に病変が起こる状態を指します。
経筋は、経絡の一部で、筋肉や腱、靭帯を通るエネルギーの通路です。
経筋は体表を走行し、関節の動きや姿勢の維持に関与しています。
経筋症は、外部の風寒湿熱などの邪気や、内部の気血の滞りによって引き起こされ、痛みやしびれ、硬直などの症状を引き起こします。
経筋の問題は、通常、運動器系の問題として現れ、特定の経筋に沿って症状が現れることが特徴です。
経筋症の分類と症状
経筋症は、影響を受ける経絡によって異なる症状を示します。
以下に、いくつかの主要な経筋症の例とその症状を示します。
手陽明大腸経筋(てようめいだいちょうけいきん)の経筋症
- 走行:指先から手首、肘、肩を通り、首に達します。
- 症状:肩の痛み、肘の硬直、前腕の痛みやしびれ、手指のこわばり。
足陽明胃経筋(そくようめいいけいきん)の経筋症
- 走行:足の指から足首、膝、大腿部を通り、腹部に達します。
- 症状:膝の痛み、大腿の硬直、腹部の筋肉痛。
足太陰脾経筋(そくたいいんひけいきん)の経筋症
- 走行:足の指から内側の足首、膝、大腿内側を通り、胸部に達します。
- 症状:大腿内側の痛み、足の内側のしびれ、腹部の不快感。
具体的な例題
例1:手陽明大腸経筋の経筋症
症状:40代の男性が、右肩の痛みと肘の硬直を訴えて来院しました。
デスクワークが多く、右腕を長時間使用することが多いとのことです。
朝起きた時に特に症状が強く、右前腕にも軽いしびれを感じます。
診断:手陽明大腸経筋の経筋症と考えられます。
長時間のデスクワークによる姿勢の不良や、腕の過度の使用が原因と考えられます。
治療:以下のような鍼灸治療を行います。
- 鍼治療:合谷(ごうこく)、曲池(きょくち)、肩髃(けんぐう)などの大腸経の経穴に鍼を行います。これにより、気血の滞りを解消し、痛みと硬直を緩和します。
- 灸治療:局所の血流を改善するため、肩と肘に温灸を行います。
- 推拿(すいな):肩と前腕の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐします。
例2:足陽明胃経筋の経筋症
症状:50代の女性が、右膝の痛みと大腿前面の硬直を訴えて来院しました。
特に歩行時に痛みが増し、階段の上り下りが困難です。
診断:足陽明胃経筋の経筋症と考えられます。
運動不足や体重の増加、長時間の立ち仕事が原因と考えられます。
治療:以下のような鍼灸治療を行います。
- 鍼治療:足三里(あしさんり)、豊隆(ほうりゅう)、膝関(しつかん)などの胃経の経穴に鍼を行います。これにより、気血の滞りを解消し、膝の痛みを軽減します。
- 灸治療:膝と大腿前面に温灸を行い、局所の血流を改善します。
- 推拿(すいな):膝と大腿前面の筋肉をマッサージし、筋肉の緊張をほぐします。
まとめ
経筋症は東洋医学における運動器系の問題で、特定の経絡に沿った筋肉や腱、靭帯に異常が発生する状態です。
鍼灸治療や推拿を用いて、気血の滞りを解消し、痛みや硬直を緩和することができます。
具体的な経絡と症状に応じた治療を行うことで、効果的な改善が期待できます。
東洋医学、鍼灸治療からひと言
今回も(笑)な質問をありがとうございました。
でもですね、以外と馬鹿にならないのが扇風機の風なんです。
ということで、風邪(ふうじゃ)から経筋症まで話を拡げました。
でね、内緒なんですが、経筋症の鍼灸治療では、実は・・・焼鍼(やきばり)が即効がある場合があったり、焼鍼でないと経筋症がとれないかったりもします。
焼鍼とは、熱した棒で、皮膚をチョンチョンとするものです。
チョンチョンする場所や流れなど、ホリス治療院で採用しているFT(フィンガーテスト)という技術がないとなかなか分からないのですが、実に素晴らしいものがあります。
この技術を伝承していきたいのですが、伝えていくことの難しさを感じている今日この頃ですが、この話は、またの機会に。